2014年6月8日日曜日

吉本隆明「共同幻想論」からみた場所の再生

私は吉本ばななさんの父親で思想家の吉本隆明さんについて論文を雑誌に連載していて、一方で吉本隆明についての研究会の動画を自分のサイトにアップしてます。 これは吉本さんの主著ですが、私はこれを作るのにかかわったこともあってこの本を5、6回通しで読んでいるのは世界で僕ともう一人だけだと思います。 これはいいちこという大分県の三和酒造のPR誌で、メセナ大賞をとったものですが、この編集を任されている山本哲士さんという人がそうなのですが、この人の国津神論 古事記の逆立解読 という本があります。 古事記は日本書紀と違い、出雲の大国主の命を中心に、日向に天孫降臨した天皇家の天津神側と出雲をはじめとする土着の国津神たちとの調停、結婚、戦争、などなどが描かれています。 そして天皇家の皇祖神といわれるアマテラスなどは大和から追い出されて伊勢津彦といれかわりに伊勢に来ます。 ここにおける天津神は、国津神の連合の調停役、采配者としてあり、多様な日本の国の神々を横に繋ぐ役としての儀礼の王だといえます。 これは日本書紀になるとすべて親子関係になってしまいますが、もともと古事記には場所の多元性がそのまま描かれているのです。 土佐風土記の時代から古事記、日本書紀を経て、律令制をこえて戦国時代に場所の成熟が開花します。 小田原北条氏がやられなかったら日本はスイスのような連邦制になっていたでしょう。 秀吉の統一、朝鮮出兵、江戸幕府による藩主のお国替え、さらには参勤交代によって場所の力はそぎ落とされます。 明治以降天皇が伊勢神宮に参拝し、廃仏毀釈、神仏分離令、神社合祀令によっていまだ残っていたその土地の神々、場所の神社がつぶされていき、すべてアマテラスの天祖神社に配置換えされていきます。 明治以降場所の力が喪失されていくなかで、日本民俗学を創始し失われていく民俗をもとめた柳田国男と折口信夫の著書の中から土佐にまつわる記述を拾ってみました。 自分の空想は峠会というものを組織し、山岳会の向うを張り、夏季休暇には徽章か何かをつけて珍しい峠を越え、 たわ たをり たを 内海を渡って四国へ入れば「たを」とは言わずに「とう」と呼ぶけれども、 土佐の国中から穴内川の渓へ越える繁藤に、 豆の葉と太陽 白山茶花 十一月に土佐の西部を旅行して、窪川の高原に入ってみると、ここに再び数えきれぬほどの純白の山茶花を見、それが断続して幡多の村々から、伊予路に及んでいることを知ったのである。 物部麻呂 石上乙麻呂 言祝ぎ 物の哀れ 日本の國の昔に残る所の物の哀れを知って 海に流され 海部が語り 言祝ぎ人 ほがいびと かっぱ 土佐國 玉嶋 (釋日本紀 卷第十) 土左の國の風土記に曰はく、吾川の郡。玉嶋。或る説(つたへ)に曰へらく、神功皇后、國巡りましし時、御船泊てき。皇后(おほきさき)、嶋に下りて磯際に休息(いこ)ひまし、一つの白き石を得たまひき。團(まろ)きこと鶏卵(とりのこ)の如し。皇后、御掌(みたなぞこ)に安(お)きたまふに、光明(ひかり)四もに出(さしい)でき。皇后、大く喜びて左右(もとこびと)に詔りたまひしく、「是は海神(わたつみ)の賜へる白眞珠(しらまたま)なり」とのりたまひき。故、嶋の名と為す。云々。 (今井似閑採択) 土左高賀茂神社 (釋日本紀 卷第十二・十五) 土左の國の風土記に曰はく、土左の郡。郡家の西に去ること四里に土左の高賀茂の大社(おほやしろ)あり。其の神のみ名を一言主尊と為す。其のみ祖(おや)は詳かならず。一説(あるつたへ)に曰へらく、大穴六道尊(おほなむぢのみこと)のみ子、味?高彦根尊(あぢすきたかひこねのみこと)なりといへり。 (今井似閑採択) 朝倉神社 (釋日本紀 卷第十四) 土左の國の風土記に曰はく、土左の郡。朝倉の郷あり。郷の中に社あり。神のみ名は天津羽羽(あまつはは)の神なり。天石帆別(あまのいはほわけ)の神、天石門別(あまのいはとわけ)の神のみ子なり。 (今井似閑採択) 神河 (萬葉集註釋 卷第一) 土左の國の風土記に曰はく、神河(みわがは)。三輪川と訓(よ)む。源は北の山の中より出でて、伊與の國に届(いた)る。水淸し。故、大神の為に酒醸(か)むに、此の河の水を用ゐる。故、河の名と為す。 (今井似閑採択) 物部川 物部村 いざなぎ流 神ーモノ 土佐刃物 紙漉き 場所の共同幻想としての神からモノを引き出す技術がある 文化技術 土佐なら土佐文化圏というものを想定して統一的に理解して復興させるために神を考える。 客観的社会物理学と主観的人間学 その場所固有の共同幻想が文化の根源であり、技術はそこから派生してもたらされる 土佐の文化圏というものが想定され、それを場所の共同幻想として復興させる、というのが僕のアウトラインです。

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