STAP細胞事件について哲学者の東浩紀氏がツィッター上で次のように述べています。
東浩紀 hiroki azuma@hazuma
ところで、ぼくは、小保方氏の指導教官だった大和雅之氏がかつて『現代思想』に原稿を寄せたことがあり、栗本慎一郎と共著まであるということにかなり驚いています。しかもテーマはポランニー。STAP細胞のアイデアとポストモダン思想は意外とまじで繋がっていたかもしれません。
https://twitter.com/hazuma/status/444820568202686465
しかし、そんな奇跡を夢見てしまった研究者の心理には(研究倫理上の責任とはまったく別の次元で)関心がある。栗本慎一郎の弟子だったという大和雅之氏には、彼が「生命」をどう捉えていたのか、そしてそれが今回の錯誤とどう繋がったのか、いつかお話を窺ってみたい。難しいだろうけど。
https://twitter.com/hazuma/status/446119916823793664
東氏が言及している大和雅之氏とは
この騒動の端緒にあらわれて姿を消してしまった人です。
MSN産経ニュース【新型の万能細胞「STAP」】
東京女子医大・大和雅之教授「10年以内に臨床研究」、慶応大・岡野栄之教授「慎重な検証が必要だ」2014.2.10 14:16
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140210/scn14021014270002-n1.htm
「刺激で万能細胞が作れるというアイデアは、ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授と私が2010年にそれぞれ独立に思いついたことだが、小保方さんのように一生懸命やる人がチームに加わらなかったら、今回の発見は数年単位で遅れていたと思う」
ここで彼ははっきりと、STAP細胞は自分とバカンティ教授のアイデアで、実験したのが小保方氏だと述べていることになっています。
彼はどういう人なのでしょうか。ここに去年の年末のラジオでの栗本慎一郎との対談があります。
(栗本さんは脳梗塞の後遺症で滑舌が良くありません)
再生医療とは
http://www.dailymotion.com/video/x17kov4_20131124
人間とは
http://www.dailymotion.com/video/x17v0d5_20131201
話を聞くと、再生医療分野において細胞シートなるものを実用化したり、普通のまじめな研究者です。
彼が学生時代から研究者に至るまでに書いた文章のなかには次の3つがあります。
現代思想誌における、進化論の遺伝子中心主義批判(ウイルス特集)/人工知能と暗黙知(人工知能特集)/科学哲学者マイケル・ポランニー紹介です。
そして、遺伝子中心主義批判と暗黙知のもとはマイケル・ポランニーの主張です。
マイケル・ポランニーはノーベル賞級の物理化学者で晩年にシカゴ大学で科学哲学を教えた。息子のジョン・チャールズ・ポランニーが父の研究の延長でノーベル賞を受賞。
アインシュタインやコンピューターの創設者の一人アラン・チューリング、経済学者のハイエクと交流。個人的知識という主著があり、暗黙知の次元という本が有名。
遺伝子中心主義批判の内実ですが、ざっくりいうと大和さんは現代思想のウイルス特集で、ヒエラルヒー(ピラミッド)/リゾーム(ネットワーク)の対立の前者を遺伝子中心主義にあてはめています。
遺伝子中心主義がモダンでその脱構築である環境中心主義がポストモダンだということです。
これをさらに単純化すると、サラリーマン/フリーランス(起業家)の対立を当てはめることもできます。
遺伝子操作抜きに環境の刺激で細胞が初期化するというアイデアは、こういう思想が背景にあったといえます。
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