古着は気持ち悪くて着れない、人からものを借りることはしない、といった人がいた。
それなら古本も同じことだろうと思った。
本にはその中身と違った物質性、「もの」としての価値がある。しかしそれは普通感じられない。異常な妖気を帯びた古本が店頭にならんでいても、人は通り過ぎるのだ。
湿った人は湿った本、黄色い人には黄色い本。
精神世界系の本棚にいって手にとるとそういう「感じ」がする。
その本を手にとって見た人の思い入れが残っているのか、もともとの版元からのバイブレーションなのか。
探していた本が最後に店を出るときにたまたま見つかるということもよくある。
古本の収集家で、両方とも死んだが山口昌男という人と黒沢比佐子という人がいる。
山口氏は一時期神保町の本が買い占められているといううわさが立ったが、大量に本を買っていた。
十数年前に脳梗塞で倒れて、その後酒を飲んで8年間ぐらい意識不明のまま亡くなったそうだ。
黒岩氏は52歳で膵臓がんで急遽した。酒など飲まなかったはずだ。
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